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法定相続証明制度(仮)

2016/07/06

相続手続において必要な戸籍の収集が簡素化される見込みのようです。名称は法定相続証明制度(仮)。

相続手続きを簡素化=戸籍書類、証明書1通に-法務省

相続手続きを実施する場合、亡くなった方(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの間の戸籍の記載を確認して、相続人に誰がいるかを確認しなければなりません。

現在の被相続人の戸籍については、本籍地の市町村役場に請求すればすぐに取得することができますが、それだけでは十分ではありません。現在の戸籍には、原則としてその戸籍が作られてから現在までの出来事しか記載がされていないため、それ以前の出来事を確認するには、前の戸籍→前の前の戸籍→前の前の前の戸籍・・・というように遡って確認する必要があるためです。

戸籍が新たに作り替えられるタイミングとしては、①結婚や離婚、②戸籍の本籍地の移動といったもののほかにも、③戸籍制度の変更に伴う戸籍の改製というものもあります。このため、ほとんど戸籍を移動したことがない、という方も、最低でも6,7通は必要になることが多いように思います。

この戸籍の取得するためにどうしていくか、というと、現在の戸籍を取得し、そこに書いてある前の戸籍を取得し、その前の戸籍に書いてある前の前の戸籍を取得し、という手続きを繰り返していきます。戸籍の管理は各市町村ごとに行われているため、戸籍の移動が市町村をまたいでいるような場合には、一度の手続きではすまず、各市町村からそれぞれ取得しなければならない事になります。

また、現在の戸籍はデジタル化されているほか戸籍の記載事項記載方法も統一されているため比較的見やすいのですが、過去の戸籍はのきなみ手書きの戸籍で、達筆な方が記載していたりすると判読に相当な時間を要します。

今回、どの部分が簡素化されるかということですが、上記の一番大変な取得・収集の手続きは一切変更はありません。

今回新設される制度は、戸籍を取得したのち、それをもとに不動産登記やら、各金融機関の手続きやらを実施することになるのですが、いままでは各手続ごとに戸籍をそれぞれの場所に提出しなければならなかったものを、一度戸籍をそろえて法務省に提出すれば、法務省が証明書を発行できるようにしましょう、というもののようです。

このため、メリットとしては、相続手続きをする側にとっては複数通の戸籍を取得しなくてよい点、受付側(法務局や金融機関)にとってはいちいち戸籍の記載内容を確認しなくて済むという点にあります。

このうち、相続人側のメリットについては、現在ほとんどの機関では原本の還付が受けられることもありますし、一度に取得すればよいだけの話なのでそこまで大きなメリットとはいえないような気もします。むしろ今回の制度については受付側のメリットが極めて大きく、そのための制度といってよいのかなという気もします。

相続手続きを大きく簡素化し、相続人の負担を軽減するには、戸籍を全国で一括管理するか、現在の戸籍にすべての事項を記載するか(以前は手書きだったので大変だったかもしれませんが、今はデジタル化されているのでそこまでの手間とも思えません。)、といった相当ドラスティックな変更をしない限り意味が無いように思います。

いちいち、この辺の作業に費用と時間を費やすのは無駄が多いなあ、といつも感じるので、一刻も早く改善を実現してほしいと思います。

(あまりイメージがわきにくいかもしれませんが、例えば明治時代から放置されていたような不動産登記を整理するためには100人を超える相続人を把握しなければならない場合があり、このような場合本当に本当に大変です。。)

弁護士 堀 賢介

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