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第三者委員会方式による不祥事調査

2016/06/07

舛添東京都知事の話題で世間は盛り上がっていますが、調査方法について疑問の声が上がっているようです。

今回舛添さんは、弁護士に調査を依頼し、元検事出身の弁護士二名の方(補助としてもう二人の弁護士がいたようです)が担当していたようです。報告書は50ページ以上にわたる大部です。

企業等の組織に不祥事が起きた際の対応方法としては、従来いわゆる社内調査というものが一般的でした。この調査方法の場合、社内の役員、従業員等で調査を行う担当を決め、不祥事の当事者や関係者に対して聴取りや資料の提出等を求め、調査結果を会社に報告、会社が公表するという流れになります。社内調査の場合、自分のことを自分で調べる、ということになるので、適切性や客観性の担保のために相当な自制と自律が求められます。またいかに適切に実施していたとしても、外部から見た場合に信頼性に欠けると判断されてしまうことも多かったように思います。

このため、近年では外部の弁護士等を交えて調査委員会を設置し、調査委員会に不祥事の調査を委ね、会社を介さずに当該調査委員会が外部に報告する、という方式をとることが一般的になってきています。これを「第三者委員会方式」などと言ったりするようです。

そのほかいろいろなバリエーションはありますが、大きくはこの社内調査方式と第三者委員会方式の二つに大別されるように思います。

もっとも、法律でこのような不祥事があった場合には社内調査に、こうした場合は第三者委員会で、というような決まりはありません。あくまで企業の判断で、事件の重大性、社会的影響の程度、調査の実効性、迅速性、客観性の担保等を考慮しながら、どのような方法をとるかを選別していくことにします。

一般的には第三者委員会方式をとる場合には大規模な不祥事であって、新聞報道等も行われているケースが多いようです。これには第三者委員会方式には相当な費用や時間的なコストが多くかかる点があると思われます。

第三者委員会方式については特に法律で決められた内容があるわけではありません。一時期何でもかんでも「第三者委員会」「外部調査委員会」と名乗って乱立気味だったこともあり、日弁連は「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を2010年には既に策定しています。(これも日弁連が自主的に作ったものであるため強制力があるようなものではありません。)

その他にもそれぞれの組織ごとにガイドライン等の形で示されているものはあるようです。

今回の舛添さんの報告書は第三者委員会方式をとったというわけではなさそうですが、外部の第三者に調査をさせて報告内容の信憑性を高める、という意味では第三者委員会方式の一類型であることは間違いありません。

もっとも、すべてに共通する問題ですが、人選や報酬の支払いが本人から行われる中で調査の適切性がどこまで担保されているのか、ということは構造的な問題として残らざるを得ないと思います。また、強制力がないため、本気で会社側が隠している資料や事情はどこまでいっても出てこない、ということも報告書等を見る際に忘れてはいけない視点だと思います。

利害関係の全くない完全な第三者かつ強制捜査ができる主体に任せることができれば一番良いのでしょうが(刑事事件に限られますが、例えば警察や検察はそういう存在です。)、そういうわけにはいかないと思いますので、この点はどこまでいっても悩ましい問題です。

第三者委員会方式による報告があまりにも玉石混交ということもあり、最近では著名な弁護士の先生方等による報告書を勝手に格付けする「第三者委員会報告書格付け委員会」なるものも出てきています(内容は総じて辛口です。)。

勝手に格付けされた報告書を担当した弁護士からの反論なども出ていたりしてとても面白い内容になっています。

 

弁護士 堀 賢介

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