Blog

中小企業グループ補助金その1

2016/01/20

1月12日付の茨城新聞にこんな記事が載っていました。

大震災被災の再建支援 グループ補助金 交付の県内16社廃業

中小企業グループ補助金を受領した県内企業がそのかいもなく結構廃業しているぞ、という内容です。この記事の中で、補助金の回収について以下のような記載がありました。

「グループ補助金を受給した企業が廃業した場合、事業主体となる県は破産管財人に対し、補助金を活用した資産を処分したことにより得られた価格に対し補助率分となる4分の3を請求できる」

業務で破産管財人を引き受けることも多いこともあり、この記載が引っかかりました。特別の法律で認められた破産法上の特則が何かあるのか?別除権類似の権利なのか?しかも「廃業」かつ「破産管財人の処分」に限定?

しかも、このあと記事が

「廃業した企業が建物や設備を売却しても、事業者が滞納している税金回収や借入金返済などに優先的に充てられる」

と続くので、じゃあ単なる劣後債権?とさらに混乱が深まり、時間ができたところで、ちょっと調べてみました。

この点、補助金一般の返還請求については、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」という法律により規律が定められており、そこでは

 

(決定の取消)第十七条 各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。

とされているため、補助金交付の条件に違反した場合などには取り消し処分で返納しなければならないことになります。この返還義務は「国税滞納処分の例により徴収することができる。(同法21条)」等とされているので、 国税地方税の次の順位での回収が可能になります。

ただし、破産法上財団債権や破産債権として認められる場合には「破産手続開始前の原因に基づいて生じた」(破産法148条1項2号、2条5項)ことが必要になるため、補助金の取り消しが①「破産手続き開始前の原因に基づいて生じた」といえる場合には、財団債権(具体的納期限が1年以上前の場合は優先的破産債権)、②そうでない場合は劣後的破産債権ということになりそうです。

それではその分水嶺は、ということですが、補助金取消しの事情(条件違反等)が破産開始決定前に生じていたか否かがポイントになってきそうです。この点に関して判断された裁判例としては名古屋高裁平成5年2月23日判決があります。

名古屋高裁の事案は、保育園の建物の防音工事費用に補助金をもらっていたところ(自衛隊の基地が近くにあったため)、建物に担保を無断でつけてしまって条件違反となってしまったという事案です。補助金取消しの事情が破産開始決定前に生じていたため、実際の取り消し決定は破産開始後に行われたにもかかわらず、この返還請求権について財団債権性を認めています。

このため、中小企業グループ補助金についても、例えば補助金で買った資産を許可を得ずに勝手に売却して資金繰りに充ててしまったり、資金調達のために担保を設定してしまったりといった条件違反が破産開始決定前に生じていれば、一般的には財団債権として認められ、優先的に返還を求められることになりそうです。

(続く)

法律相談 初回30分無料 お問い合わせはこちらから

セカンドオピニオン

相談チケット制

よくあるご質問

Blog